なぜ“使い分け”でつまずくのか
ServiceNowを学び始めると、早い段階で自動化の選択肢が一気に増えます。Business Rule、Flow Designer、Client Script、UI Policy、Script Include…。「できること」が多いのは強みですが、初学者のうちは逆に混乱の原因にもなります。
特にBusiness RuleとFlow Designerは、どちらも「レコードをきっかけに処理を動かす」ことができるため、学習中にこう感じがちです。
- 「同じことができるなら、どっちでもいいのでは?」
- 「Flowのほうがノーコードっぽいし、全部Flowでよくない?」
- 「いや、結局みんなBusiness Rule書いてる気がする…」
CSA学習で大事なのは、暗記で“単語の意味”だけを覚えることではなく、設計の判断軸を持つことです。判断軸があると、実務でも試験でも迷いが減ります。
この記事のゴールはシンプルです。
- Business RuleとFlow Designerの得意/不得意を理解する
- 要件を見たときに「まずどっちを検討するか」を説明できる
- “どっちか一択”ではなく、組み合わせる発想が持てる
では、まず前提の整理からいきます。
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Business RuleとFlow Designerの役割を一言で言うと
細かい機能の比較に入る前に、ざっくり一言でまとめます。
- Business Rule:データの整合性や内部ロジックを、レコード更新のタイミングに合わせて“確実に”支える仕組み
- Flow Designer:業務プロセスを、人が追える形でつなぎ、外部連携や承認など“流れ”を組み立てる仕組み
ここで重要なのは、どちらが上とか下ではなく、守備範囲が違うという点です。
Business Ruleは「データの世界の中で強い」
Business Ruleはサーバー側で動き、レコードのinsert/update/delete/queryなど、データ操作と密接に結びつきます。たとえば、
- 値の自動補正(空なら初期値を入れる)
- 関連レコードの更新(子に合わせて親を更新する)
- 保存前の整合性チェック(この条件なら保存させない)
といった「データの正しさ」を守る用途に向きます。
Flow Designerは「人とプロセスの世界で強い」
Flow Designerは、トリガーから始まって、条件分岐、承認、通知、外部システム呼び出しなどを見える形で組み立てられます。
- 申請 → 承認 → タスク作成 → 通知 → 連携
- 条件に応じて別ルートに分岐
- 一定時間待つ、期限が来たらエスカレーション
こういう「業務の流れ」はFlowが得意です。
ここまでで、「じゃあ判断はどうする?」が次のテーマになります。
どっちを選ぶ?を決める7つの軸
ここからが本題です。迷ったときに効く判断軸を7つ紹介します。全部を厳密に覚える必要はなく、2〜3個でも使えるようになるだけで選びやすくなります。
データ整合性が主目的ならBusiness Ruleを優先
例:
- 「priorityが1なら、impact/urgencyの組み合わせはこの範囲にしたい」
- 「この項目が空なら保存できない」
- 「状態遷移のルールを強制したい」
こういう“データの約束事”はBusiness Ruleが向きます。理由は、データの入口に近い場所で制御できるからです。
承認・通知・待機・分岐など“流れ”が主ならFlow Designer
例:
- 「申請されたら上長承認、承認されたら担当グループに割り当て、期限が近づいたら通知」
- 「条件に応じて別のチームに依頼を飛ばす」
これはFlowの得意分野です。処理が“線”で表現されるので、後から見た人も追いやすいです。
処理の粒度が「一発のロジック」ならBR、「複数ステップ」ならFlow
- BR向き:1〜2個の更新、値のセット、簡単なチェック
- Flow向き:複数アクションを段階的に実行、途中で条件分岐、承認を挟む
「処理が増えそうだな」と感じたらFlowを検討すると整理しやすいです。
ガバナンス・可視性が必要ならFlowが有利なことが多い
運用でよくあるのが「誰が何を作ったかわからない」問題です。
Business Ruleはコード中心なので、命名やコメントが雑だとブラックボックス化しやすい。
一方Flowは、少なくとも処理の全体像が画面で見えるので、引き継ぎやレビューのしやすさにつながります(もちろん設計が雑だとFlowでも読めなくなりますが…)。
“いつ動くか”がシビアならBusiness Ruleで制御しやすい
Business RuleはBefore/After、Display、Asyncなど、タイミングの考え方が明確です。
「保存前に絶対直したい」「保存後に関連更新したい」のような要求はBRが選びやすいです。
Flowもトリガーがありますが、要件がデータ更新の厳密なタイミングに依存する場合、BRのほうが判断しやすいことがあります。
外部連携・API呼び出しが絡むならFlowが扱いやすいことが多い
IntegrationHubなどの文脈も含め、Flowは外部連携のアクションが並べやすいです。
もちろんBRでもスクリプトで呼べますが、運用チームが追う前提だとFlowのほうが説明しやすいことがあります。
パフォーマンス・実行頻度が高い処理は慎重に
大量更新や頻繁に走る処理は、どちらでも設計に注意が必要です。
ただ、ざっくり言うと、
- “毎回保存のたびに走る小さなロジック”はBRで最適化しやすい
- “長い処理や外部連携を含む”なら非同期や分割がしやすいFlowのほうが整理しやすい場合がある
ここは「何でもFlow」「何でもBR」にならないように、要件と運用を見て決めるのが安全です。
よくある要件を「BR向き/Flow向き/組み合わせ」に仕分けする
判断軸だけだと抽象的なので、よくある要件を仕分けします。実務でも学習でも、このレベルの例が腹落ちすると理解が早いです。
例:インシデント登録時、短い説明が空ならエラーにしたい
おすすめ:Business Rule(Before)
保存前に止めたいからです。Flowで「空なら通知」もできますが、「保存させない」という制御はBRのほうが素直です。
例:緊急度が高い場合だけ、特定グループへ自動割り当てしたい
おすすめ:ケース次第(BR or Flow)
- 単にassignment_groupをセットするだけならBRで十分
- 条件が複雑で、他の処理(通知、タスク作成、承認)も増えるならFlowでまとめた方が整理しやすい
最初はBRで始めて、運用が育ってきたらFlowへ寄せる、という移行も現実的です。
例:状態が「Resolved」になったら、解決通知を送って、3日後に自動クローズしたい
おすすめ:Flow Designer
「通知」+「待機(3日)」+「条件確認」+「更新」という“流れ”があるからです。
BRでやろうとすると、スケジュールやイベント設計まで考える必要が出やすく、初学者には見通しが悪くなりがちです。
例:親子テーブルで、子が更新されたら親の集計項目を更新したい
おすすめ:Business Rule(After)+必要ならScript Include
データ整合性の話で、更新頻度も高くなりがちです。Flowでもできますが、集計のような内部ロジックはBR寄りがわかりやすいことが多いです。
例:申請が承認されたら、別システムにユーザー作成APIを投げ、結果を記録して通知したい
おすすめ:Flow Designer(+必要ならスクリプト)
外部連携・分岐・通知まで一連のプロセスなのでFlowが合います。
ただし、APIの細かい処理や共通化はScript Include等に逃がして、Flowは“つなぐ役”にするのが読みやすいです。
例:入力値の正規化
おすすめ:Business Rule(Before)
保存のたびに確実に整形したいならBRが向きます。こういうのは「いつ実行されるか」が重要です。
迷ったときの最短ルート+学習の進め方
最後に、迷ったときの“短い結論”を置いておきます。
- データの正しさ・保存タイミングの制御が中心なら、まずBusiness Ruleを疑う
- 承認・通知・待機・分岐・外部連携など、業務の流れが見える形で必要ならFlow Designerを検討する
- どちらか一方に寄せすぎず、**「ロジックはBR(or Script)、流れはFlow」**の役割分担を意識すると破綻しにくい
CSA学習としては、いきなり全部を作り込むより、次の順番が理解しやすいです。
- Business Ruleで「いつ・どこで・何が起きるか」を掴む
- Flow Designerで「トリガー→条件→アクション」の基本を掴む
- 同じ要件をBRとFlowで“両方作るつもりで考える”と、得意不得意が見えてくる
もし独学で点が線になりづらいなら、体系的にまとめて学べる教材を一つ挟むのも手です。Udemyには、Business RuleやFlow Designerを含めて、ServiceNowの自動化を一通りつなげて学べる講座があります。動画だと「どこをクリックして、何を設定しているか」が追えるので、初学者の最初の1周目に向いています。
自動化は、知識そのものよりも「要件を見て設計を選ぶ力」が伸びると一気に楽になります。この記事が、あなたの“どっち?”の迷いを減らすきっかけになれば嬉しいです。
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