インポート・統合基礎の全体像
ServiceNowを学び始めてすぐにぶつかるのが、「どうやってデータを入れるの?」「他システムとどうつなぐの?」という疑問です。現場では、チケットを手入力するだけでは回りません。既存の台帳データ(ユーザー、資産、拠点、契約、CIなど)を取り込み、さらに社内外のシステム(人事、AD、監視、MDM、会計など)と連携して、はじめて“運用が回る”状態になります。
ここで押さえるべきは、**インポート(Import)と統合(Integration)**の違いです。
- インポート:外部データを「ServiceNowの中へ取り込む」こと(例:CSVでユーザー台帳を入れる)
- 統合(連携):ServiceNowと外部システム間で「データをやり取りする」こと(例:REST APIで人事システムから最新部署情報を取得)
資格試験(CSAなど)でも、次のような観点で頻出です。
- Import Set / Transform Map の役割と流れ
- Coalesce(重複を防ぐキー)を理解しているか
- 統合の基本用語(REST、MID Server、IntegrationHubなど)を“使い分け”できるか
まずは全体像を、1枚のイメージで持つのが最短です。
(全体像)
- 外部データを読み込む → 2) 一時テーブルに保持(Import Set) → 3) 変換して本番テーブルへ反映(Transform)
または
A) API等で外部と接続 → B) 取得/送信 → C) エラー時はログ・リトライ・監査で運用
このあと、Import Set→Transform Map→統合の順で、初心者でも迷わないように解説します。
Import Set基礎
Import Setとは?
Import Setは、外部データをいきなり本番テーブルへ入れず、いったん受け皿(ステージング)に置く仕組みです。これにより、変換前のデータを安全に確認でき、失敗してもやり直しが容易になります。
基本の流れ
Data Source → Import Set Table → Load(取り込み)
- Data Source:どこからデータを持ってくるか(CSV/Excel/外部DBなど)
- Import Set Table:取り込まれたデータが入る一時テーブル
- Load:Data Sourceの内容をImport Set Tableへ読み込む処理
資格学習としては、「Import Setは“中継地点”」「Loadは“中継地点に運ぶ処理”」と覚えると整理しやすいです。
代表的な取り込みパターン
- CSV/Excel:台帳の初期投入、データ移行で定番
- 外部DB(JDBC等):定期的にマスタ同期したいとき
- LDAP/AD連携:ユーザー情報の取り込み(※運用設計が重要)
※実プロジェクトでは選択肢が多いですが、試験では「Import Setの基本構造」を問われることが多いです。
よくある落とし穴
1) 文字化け・改行問題
CSVの文字コード(UTF-8/Shift-JIS)や改行コード差で、Load時に想定外の取り込みになります。最初は少量データで検証し、問題が出たら形式を統一します。
2) 日付・時刻の解釈ミス2025/12/31 のような形式が、環境設定やロケールでズレることがあります。取り込み前にフォーマットを決め、変換はTransform側で行うのが安全です。
3) 参照(Reference)フィールドが入らない
参照先が存在しない、またはキーが一致しないと参照は張れません。対策はシンプルで、参照先マスタを先に取り込むか、Transformで検索ロジックを組みます。
4) 重複データが増える
「毎回新規登録」してしまい、同じ人物・同じ資産が複数できるケースです。これは次のTransform MapのCoalesceで防ぎます。
Transform Map基礎
Transform Mapとは?
Transform Mapは、Import Set Tableに入ったデータを、目的のテーブル(Target)へ変換して反映する仕組みです。ここが“インポートの心臓部”で、試験でも実務でも最重要ポイントです。
何を設定するのか
- Source(Import Set Table):どの一時テーブルから
- Target(本番テーブル):どのテーブルへ
- Field Map:どの項目をどこへ入れるか
ここに加えて、必要に応じてスクリプト(変換ロジック)を入れます。たとえば「部署コードから部署レコードを検索して参照を張る」などです。
Coalesce(コアレス)
Coalesceは、かんたんに言うと「同一レコード判定のキー」です。これを理解すると、インポート設計が一気に安定します。
- Coalesceなし:毎回新規レコードが作られやすい(重複地獄)
- Coalesceあり:一致するキーがあれば更新(Update)、なければ新規(Insert)
例)
- ユーザーなら:社員番号、メールアドレス
- 資産なら:資産タグ、シリアル番号
- CIなら:一意に決まる管理番号
ポイントは「人間が変えない値」「一意に近い値」を選ぶこと。名前や部署名は変わりやすく、キーにすると事故ります。
Transformの結果をどう確認する?
Transformは“動いたら終わり”ではなく、失敗したときに追えるかが重要です。基本は次を見ます。
- Transform History(履歴):いつ、どのTransformが動いたか
- エラーメッセージ/ログ:スクリプト変換が失敗していないか
- 取り込み件数の差:Source件数とTarget反映件数が合うか
初学者のうちは、いきなり大量データで本番反映しないこと。10件だけで検証→100件→全件の順が鉄則です。
統合(Integration)基礎(REST/SOAP・MID Server・IntegrationHub)
インポートは「外部→ServiceNow(片方向)」が中心ですが、統合は「双方向のやり取り」も含みます。資格でも、現場でも、“用語を知っている”だけでは弱く、使い分けの理由を説明できると強いです。
統合の分類
- Inbound(受信):外部→ServiceNow(例:監視ツールが障害を通知してIncident作成)
- Outbound(送信):ServiceNow→外部(例:承認結果を外部ワークフローへ返す)
- 同期(Sync):常に同じ状態に保つ(例:ユーザー/部署マスタ同期)
- 非同期(Async):イベントとして流す(例:Webhookで通知)
RESTの超基礎
ServiceNowの連携で最も登場しやすいのがRESTです。難しく感じますが、最初はこう考えるとOKです。
- “テーブルに対して”データを取得/作成/更新/削除する入口がある
- 代表操作は、取得(GET)・作成(POST)・更新(PUT/PATCH)・削除(DELETE)
試験対策としては「REST=標準的でよく使う」「SOAP=古い仕組みで残っていることがある」くらいの理解から始めて問題ありません。
MID Serverが必要になる場面
ここは頻出です。MID Serverは一言でいうと、社内ネットワーク側に置いて、社内システムとの橋渡しをする役です。
MID Serverが登場しやすいケース:
- ServiceNow(クラウド)から、社内ネットワークのDB/監視/ADへ接続したい
- ファイアウォールの都合で、外部から直接叩けないシステムと連携したい
「クラウドから社内へ安全につなぐ必要がある → MID Server」が基本パターンです。
IntegrationHub / Flow Designer の位置づけ
最近のServiceNow学習では、IntegrationHubとFlow Designerの理解が大事になっています。
- Flow Designer:ノーコード/ローコードで処理の流れを作る(条件分岐・承認・通知など)
- IntegrationHub:外部連携を“アクション化”して、Flowから呼び出しやすくするイメージ
ざっくり言うと、**「連携処理を部品化して、フローで組み立てる」**のがIntegrationHubの強みです。スクリプトだけで頑張るより、運用・保守がしやすくなる場面があります。
ベストプラクティス+試験対策+Udemyおすすめ
現場で失敗しない設計のコツ
インポートは“やり直せる設計”にする
- Import Setに入れた状態で確認できるようにする
- Transform前にサンプルで検証し、誤変換を潰す
- Coalesceで更新キーを決めて、重複を防ぐ
統合は“止まっても困らない設計”にする
- エラー時のリトライ、エラー通知、ログ確認手順を決める
- 外部側の障害が起きても、ServiceNow側が巻き込まれないようにする(非同期化など)
- 資格情報(Credential)の管理を徹底する(直書きしない)
典型シナリオ別:何を選ぶべき?
初心者が迷いやすいのが「CSVでいい?API?IntegrationHub?」です。判断の目安をまとめます。
- 一度きりの初期移行:CSV/Excel → Import Set → Transform Map が無難
- 定期的なバッチ同期(毎日/毎週):Import Set(スケジュール) or API連携(要件次第)
- リアルタイムに近い連携:REST(Webhook含む)やIntegrationHubが向きやすい
- 社内ネットワーク内のシステム連携:MID Serverが必要になりやすい
結論としては、**「頻度」「リアルタイム性」「社内接続の有無」「運用体制」**で決めるとブレません。
資格試験(CSA等)での頻出チェックリスト
- Import Setはステージングである(いったん受ける)
- Data Source → Load → Import Set Table の流れを説明できる
- Transform MapでTargetへ反映する
- Coalesce=更新キー(重複回避)を理解している
- 統合の基本用語(REST / MID Server / IntegrationHub)を“必要な場面”で選べる
このチェックリストを自分の言葉で説明できれば、試験の土台がかなり固まります。
Udemyおすすめ
ServiceNowの「インポート・統合」は、文章で理解しても、実際に画面を触って手を動かさないと定着しにくい分野です。そこでおすすめなのがUdemyです。Udemyの強みは、次の3つです。
- 画面操作の流れを動画で追える(Import Set/Transformの手順が特に相性◎)
- 何度でも見返せる(つまずく箇所をピンポイント復習できる)
- 章ごとに学べるので、資格対策の弱点補強に向く
Udemy講座の選び方
- 「Import Set」「Transform Map」「REST」「IntegrationHub」など、学習内容のキーワードが明記されている
- 可能なら、CSA向けや管理者向けの基礎コースを優先
- ハンズオン(演習)が含まれているコースが理想
まとめ
ServiceNowの「インポート・統合基礎」は、資格試験でも実務でも避けて通れない重要分野です。
まずは、インポート=外部データを取り込む、統合=外部システムとデータをやり取りするという違いを押さえましょう。インポートでは、Data Source→Import Set Table→Load→Transform Mapの流れが基本で、特にCoalesce(更新キー)を理解できると、重複を防ぎ安定した取り込みができます。統合では、RESTを中心に、社内ネットワーク連携が必要な場合はMID Server、連携処理を部品化してフローで組むならIntegrationHubというように、要件に合わせた使い分けがポイントです。
文章だけで理解しづらい部分は、動画で操作手順を追えるUdemyが相性抜群なので、Import/REST/IntegrationHubの基礎コースを選び、手を動かしながら学ぶのがおすすめです。これらを押さえれば、試験対策の土台が固まり、現場でも通用する“連携の考え方”が身につきます。


